【完】傷だらけのプロポーズ

泣きはらした大きな瞳は真っ赤に染めあがっていた。
あああああ…なんて可愛いのだろう。

泣いている顔さえこんなにも愛しく思えるなんて、重症だ。

意地っ張りで気が強い癖に、実はメンタルが弱くて泣き虫。 良い所も悪い所も愛しく思えるなんて、これじゃあ君以外愛せない訳だ。

どれだけ美しい人間が目の前に現れたとしても、俺の目には美麻以外映らない。 そんなのこの15年で身を持って知っていた。

「大丈夫だよ。美麻が気にするほど周りは気にしたりなんかしない。 って、美麻の気持ちを考えれば俺が軽々しく言っていい言葉じゃないけど」

「…どうして朝比奈はそんなに優しくしてくれるの?」

大きな瞳に涙をいっぱい浮かべ、上目遣いでこちらをジッと見つめる。
…その顔はやばい。

思わず抱きしめたくなったけれど、そんな勇気はない。
どうして優しいか?そんなの答えは一択しかない。

けれども互いに小学校低学年のドリルよりも簡単な問題も解けないから、俺と美麻の関係はこんなにこじれてしまったのだ。

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