【完】傷だらけのプロポーズ

「別にお金とか関係ないし…。大河さん、大人っぽいのに二人で居る時子供みたいな顔をするから、気になって…。
それに思っていた以上に純粋な人だって分かるし
5年付き合ってた元カノさんには仕事が忙しくって浮気されちゃったんだって、その人と真剣に結婚も考えてたみたいだから、辛かったみたい」

そんなの、作り話に決まってる…。どうしてそんなに騙されやすいんだよ。
お前の気を引く為の嘘だ。男っていうのは、そういう計算をする生き物なんだ。

なあ、いい加減分かれよ。 お前の一番近くに居て、お前が大好きすぎて、お前を世界一幸せに出来る男が俺だって…。


けれど美麻はやけにさっぱりとした顔をして、顔を上げたかと思えば俺と卓へと笑顔を見せた。 …俺美麻の事は全部好きだけど、笑った顔が一番好きだ。

拗ねたり怒ったりする顔も可愛いんだけど、やっぱりその笑顔は俺にとって宝物みたいなんだ。 でも俺の大好きな笑顔をこちらへ向けて、地獄へ叩き落すような言葉を吐いた。

「付き合ってみるのもありかなって思い始めてる」

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