【完】傷だらけのプロポーズ

言いたい事は沢山あった。
悪態をつく事なら得意だけど、それさえ出来ない程ショックを受けて硬直している。
卓の同情の眼差しが痛い。 そんな卓がやっと助け舟を出してくれたが、時すでに遅し。

「美麻、本気かよ…。 美麻にはもっと近くで美麻を想ってくれてる男がいるかもよ」

「そんなの居ないって。 卓ったら何言ってんの?あはは~、近くに居る男なんていないもん~」

卓のフォローは遅すぎる。

口を金魚みたいにパクパク動かす俺に対し、美麻は大笑いして「朝比奈、何その顔。うける」と言い放った。

君が笑ってくれるならば、どんな事でもしよう。 君を守るために、俺は生まれて来た。
どんなに女と付き合ってきても、俺の中の美麻が消える事は15年で一度たりとも無い。


なあ、俺にしておけ。 いや俺を選んで。 俺の彼女になって。
いえない、どうしてもいえない。
君の恋人になりたい。そう思って15年も時は過ぎ去ってしまった。

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