妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



「なんだ騒がしいぞ」



───常木さんパパの登場。
私は常木さんに抱きしめられたまま背筋を伸ばす。




和装に威厳のある声。どう頑張っても緊張してしまう。




常木さんはくっついて離れないし、目の前の常木さんパパの姿に恐れ慄く。




これが初コンタクトで大丈夫なわけない! 




 私は少しでもちゃんとしようと常木さんがくっついたまま立ち上がり



「お邪魔しています、小野枝 久美と申します」と丁寧にお辞儀した。



後ろから抱きすくめられてるため非常にやりにくい。




「その………お嬢さんの後ろにいるやつは、誰だ」



常木さんパパは驚いた表情をして私の後ろを指さした。



「いやだわ、あなたの息子ですよ」と常木さんママが苦笑いした。



「信じられん、うちの息子がこんなふにゃふにゃに甘えてるなんて」



 常木さんパパのふにゃふにゃという言葉があまりにも不似合いで少し緊張が解ける。


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