妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~




 どうやら、常木さんは悩んでいたらしいのだ。
常木家が妖守の仕事をしていることから、伝統的に神社関係の女の人と結婚しなければならないと。




実際、一昔前まではそうだったのだが、今はそういうのはないらしい。




常木さんは「なんだよそれ……」と言い、私をぎゅっと抱きしめた。



「つ、常木さん!」


と胸を押し抵抗するが



「嬉しいよ、僕」と余計に力が強まるばかりだ。




「あらぁ、熱々でいいじゃない〜」



常木さんママは頬を赤らめている。良くない良くない、この状況。


私まで真っ赤になってしまうじゃない。





 そんなこんなで常木さんは依然くっついて離れない。

そしてあろうことか常木さんママは浮かれた様子で廊下を覗き込み「おとーさーん」と呼びかけた。




へっ、お父さん!?



途端に緊張する。


挨拶をしようと思ってお邪魔したならまだしも、
貧血で蹲っていた女性を送っただけでこんな展開になるなんて考えてもなかったし………。


というか私、制服って、こんな格好でいいのかな。


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