警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
「……ドーモ?」
「ふはっ!褒めてねーよ?もう少し愛想良くしてくれてもいいんだけどって話」
バカにされてるのか。この数日こんな調子だった。
「俺の好みがわかってほっとした? 蜂谷さん」
――――好み…。
もう少し年長者がくると思ってたということは、総務部の庶務課ではなく人事課のお姉さまあたりが助っ人に来てくれると思ったのかな。
人事というだけあって社内の男性を隈なく調べているお姉さまたちは、微笑みを浮かべつつも皆ハンターのような目をしている。同じ総務部でも庶務課と人事課は全くのベツモノだ。
それとも、私があんな態度を取っているのは『天野さんが私に惚れちゃったらどうしよう』なんて自惚れていると勘違いされているんだろうか。
だから初対面から好みじゃないと念を押されてる?
そうだとしたらとんでもない思い違いだ。
間違っても社内で不動の人気を誇る天野さんが私に興味を持つだなんて思ってない。それこそどんな綺麗な女性社員にも靡かないんだから、よほど理想が高いんだろう。
ここは天野さんの勘違いに釘を刺しつつ、適当に流しておくに限る。
「はぁ。私みたいのと違って愛嬌振りまいて狙った獲物は逃さない婚活戦士みたいな人がお好みってことでよろしいですかね」
「あははっ、婚活戦士! ほんとおもしろいね、蜂谷」
無視を決め込む私の頭に、大きな手がポンと乗る。
「俺の補佐はお前だ。誰にも文句は言わせない」
不覚にも少しだけドキッとしてしまった。
ああ、早く庶務課に帰りたい。