幸せな人生の生き方
「お誕生日おめでとう、桜(さくら)!」

パンとクラッカーが鳴らされ、今日の主役である桜は照れ臭そうに笑った。テーブルの上にはいつもより豪華な食事と大きなホールケーキがある。椅子に座った桜は手作りの冠を被らされ、「ありがとう」と微笑んだ。その目には涙がある。

「桜がここに来て二年だね」

「これからもよろしくな!」

みんなから温かい言葉をかけられ、桜の頬をこぼれ落ちた涙が伝う。それでもみんな優しい表情だ。

桜は今日、十八歳になった。家族ではなく一緒に暮らす七人の歳の近い仲間にお祝いされている。桜はシェアハウスで暮らしているからだ。

このシェアハウスは、少し普通のシェアハウスとは異なっている。それでも、どんな場所より温かくて優しい場所だと桜は信じている。

自分の人生を変えてくれた場所なのだからーーー。



いつから独りだったのか、桜にはわからない。物心ついた頃から、一人ぼっちで留守番をさせられることが多くなっていた。
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