幸せな人生の生き方
両親は仕事のために生きているという人で、幼い頃からまともに会話をしたことがなかった。家族だというのに、まるで他人のようで、人見知りな桜は両親とすらまともに話せなかった。

桜の世話は、お手伝いさんが家に来てくれてやってくれた。しかし、そのお手伝いさんも仕事で家事をしてくれるだけで桜の話を楽しそうに聞いてはくれない。小学生になる頃には、桜は自分の存在を否定するようになってしまった。

入学式も、授業参観も、夏休みも、誕生日も、クリスマスも、お正月も、卒業式も、咲はずっと一人で過ごすことになった。そしてクラスメートたちは、桜を「親から見捨てられた子」と言いいじめるようになってしまったのだ。

物を壊され、悪口を言われ、体育館倉庫に閉じ込められ、暴力を振るわれーーー。書ききれないほど、色々なことをされた。しかし、桜は理不尽な暴力も「自分がいけないんだ」と思い、抵抗することなく受け止め続けた。

両親は話を聞いてくれない。先生はあてにならない。桜が頼れる人は誰もいなかったのだ。
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