今日からニセモノお姫様!





「完璧ですね。では参りましょう」



そんな私を見て伊織は相変わらず無表情だがどこか満足げにそう言うと部屋の扉を開けた。

そして私は伊織が開けてくれた扉を潜ってほぼ半日ぶりにこの部屋の外へ出た。


無理ゲー生活がいよいよ幕を開けたのだ。



*****




私と伊織は婚約者たちがもうすでに揃っているらしい談話室前にやってきた。



「婚約者の皆様はすでにお揃いです。本日から始まる生活についてこの楽園の主人である乙女様より説明と挨拶をお願いします。内容は昨日確認した通りです」

「…ええ」


談話室の扉を開ける前にドアノブに手をかけ伊織が私に最終確認をする。
私はより一層気を引き締めて伊織に短く返事をすると扉を力一杯睨んだ。


ここからは例え伊織に対してもボロを出してはいけない。
5000万は普通に返せない。



「では」



スッと伊織によって扉が開かれた。

まず目に入ったのは天井に吊るされている豪華絢爛なシャンデリア。
そしてその下には何人用のソファよ、と言いたくなるような半円の長い白いソファ。

そこには昨日からずっと写真で見ている婚約者候補である4人の見目の麗しい男たちが自由に座っている姿があった。


眩しっ。


それがこの光景を見た1番の感想である。

キラキラと光るシャンデリアに白と金で統一した部屋。無駄に煌びやかな空間にいる乙女様厳選の見目の大変麗しい男たち。

これが眩しくない訳がないだろう。










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