今日からニセモノお姫様!





昨晩この内容の決まりを聞かされた時は生きた心地がしなかった。

気まぐれで呼び出せるのはいいが、夜を必ず誰かと共にしなければならないのだ。
休まる時が本当にないじゃん!



「さて、早速今日なのだけれど。みんな今日はもう疲れたでしょ?今日は誰も私の所へ来なくてもいいわ。あと半日よく休んで明日から楽しみましょう」



言えた!
寸分の狂いなく私は乙女様スピーチを言い切ったことにより心の中でガッツポーズをする。表の表情はあくまで勝ち気に微笑んだままであり、もう全て練習通り、100点満点である。



「それじゃあね」



私は達成感を噛み締めながら伊織が再び開けた談話室の扉を潜った。


ミッションコンプリート。



「どうだった?」



あまりにも嬉しくて伊織が扉を閉めたことを確認すると、私はニコニコの笑顔で伊織を問い詰めた。
すると…




「大変素晴らしい挨拶、説明でした」



と相変わらずの無表情で伊織に言われた。

伊織のお墨付きじゃーん!
と喜んでいられたのはほんの一瞬だけで。

そんな私の態度を見て伊織は「乙女様、今は表情が緩みすぎな上、らしくない発言をされていますよ」とオブラートに包みまくって注意をされた。

おそらく「乙女様はそんな表情はしません。乙女様はそんな発言はしません」と言いたかったのだろう。


…ちょっとくらいいいじゃん。
と言いたいけどバレたら本当に即人生終了なので大人しくしています。








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