今日からニセモノお姫様!





「こちらの契約書に書いてある通り、アナタは本日より華宮乙女様としてこの屋敷で婚約者候補を始めとした方々と生活して頂き、学院にも通って頂きます。その際、アナタは乙女様ではないことを必ず隠し通し、もし隠し通せなかった場合、今までの報酬は全没収、となります」

「へ?」


ちょい待ち。
未だに一度たりとも表情を崩さないこの不審者執事の言葉に嫌な汗が溢れ出す。

おおおおい。なんか思ってたのと違うぞ。



「…すみません。やっぱり私には荷が重すぎます」


すぐに無理だと思った。
ちょっとの時間だけ別人になるのだってきっと難しいだろうに今の不審者執事の説明だと、私は今日から四六時中乙女様で?何とそこには乙女様の婚約者候補様方がいて?絶対にバレてはいけない、だなんて。

無理!無理!無理!



「そう言われましても。こちらの内容で納得して契約書にサインしたのでは?これがある限りアナタはもう乙女様になるほかありませんが」


やんわり断った私を不審者執事が無表情ながらもおかしなものを見るような目で見る。


うっそ!契約書に書いてあったの!?
書いてあるか!普通!バカ!数分前のわたし超バカ!
あぁ、なんてものに名前を!

いやでも私が乙女様になるとしてさ!
そうしたら私自身はどうなるの!学校もあるし、帰る家もある、家族だっているんだよ!

そんな住み込みだなんてまず親に話通してからでしょ!

未成年舐めるな!










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