【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜


 

 「どんな女と結婚したのか知りたくて、気になって来てみたら……。まさかあなたみたいな凡人と結婚しただなんて、驚いたわ。……なぜわたしとではなく、あなただったのかしらね?不思議だわ」

 遠山さんという女性はわたしを嘲笑うかのようにそう言うと、わたしに一歩近付いて。そして耳元でこう言った。

 「棗さんのこと、返して」

 「……え?」
 
 返して……?それは、どういう意味……?

 意味が分からないわたしに、遠山さんはまた一言付け足すように言った。
 
 「絶対に許さない……。この泥棒猫!」

 そしてわたしの頬を叩こうと手を上げたその時だった。わたしは反射的に目を瞑ろうとした。

 「……おい。俺の妻に何をしているんだ?」

 「な、棗……さん……」

 棗さんが遠山さんの右手を抑えて、冷たい目で見下ろすと、一言そう言った。

 「な、棗……」

 「俺の妻に手を出すとは、どういう神経をしているんだ?」

 「そ、それは……」




 


< 124 / 264 >

この作品をシェア

pagetop