【超短編 26】 もぐら戦車
もぐら戦車
 夜中に目を覚ました僕は小腹が空いたので、台所に行って食べ物をあさる事にした。
 冷蔵庫を開けるとビールと牛乳とウスターソースしか入ってなかった。戸棚のほうを開けるとコンビーフの缶詰を見つけ、それを皿にもってウスターソースをかけた。
 ビールを開けて昨日の新聞を開くと、一面に地震の新しい情報が載っていた。
『地震の原因はもぐら戦車』
と見出しに書かれていて僕は目を疑った。今さら地震の原因も何もないと思うが、よりによってもぐら戦車というのはどういうことだろう。
 妙にかわいらしいもぐらが戦車を運転しているところを想像しながら細かい記事を読んでみることにした。
「27日午後4時55分、北海道上川郡新得町を震源地に襲ったM(マグニチュード)4の地震はもぐら戦車が原因であることが文部科学省の地震調査研究推進本部の調べで明らかになった。もぐら戦車はその名の通り、もぐらが新しく開発した地底戦闘用の新兵器で戦車の先端に取り付けられたドリルで地中に穴を開けて進み、搭載されたミサイルも同様にドリルを利用していることから地中では無敵の戦闘力を誇ると言われ、アジアの中東部では既に内戦などで実際に使われている。
 今回の地震は自衛隊のキャンプ中、内密に行った地底での訓練により地中に穴を開け過ぎたことが直接の原因とみられ、今後その時指揮をしていた責任者に事情を聞くとともに原因を追究していくことになっている。また防衛庁の…」
 
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