【超短編 26】 もぐら戦車
どこまでが本当なのか全くわからないが、「もぐらが新しく開発した」というのは何かの間違いに違いない。
 もぐらはそんな戦車を使わなくても地面をいくらでも掘れるからだ。それとも、そう思っているのは僕だけでもぐらは土を掘るなんかできないのだろうか。
 田舎に住んでいた友人は実際にもぐらを見たことがあるらしいが、ずっと東京に暮らしている僕はもぐらを見たことがない。もぐらは地面を掘るよりも戦車を開発するほうが得意なのだろうか。そもそももぐらは土を掘る才能があるという知識を僕につけたのは一体誰だったのかが思い出せない。幼稚園の先生か、母親か、もしくはどちらかが読んでくれた絵本の中の話だったのかもしれない。
 絵本の中の話だったらフィクションである可能性も高い。子供のころ鵜呑みにしていたまま過ごしてきたのかもしれないが、もぐらが鉄鋼業を営んでいる話も今まで聞いたことがなかった。
 記事の後ろの方には、最近テロリストが東京に潜伏していて地中にもぐら戦車を張り巡らしているとも書いてあった。地下からミサイルを打つ気なのか、地震を起こそうとしているのかはわからないが、本当だったらどちらも大変な惨事に見舞われることになるはずだ。もしかしたら、僕の家も潰れてしまうかもしれない。
 僕は、空腹を満たして一息つき、タバコに火をつけながら思った。
 コンビーフは取っておくべきだった。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【超短編30】恋愛トマト談義
群青/著

総文字数/1,483

その他2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
久しぶりに更新する内容ではないかも。
【超短編29】野外ステージの音
群青/著

総文字数/850

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
まぁ、オチまで読んでください。
演っとけ! 劇団演劇部
群青/著

総文字数/93,095

コメディ109ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「暗い」 「キモい」 「何をしてるか謎」 そんな演劇部の印象をプラスにするため、入学式を10日遅刻してきた佐々木栄斗が立ち上がった…矢先に演劇部が廃部に! 「部員を規定の数集めれば…」 「大会で優勝すれば…」 というお約束のサクセスチャンスを全く作ってくれない冷酷な生徒会が演劇部(だった団体)の前に立ちふさがる!! どうする、佐々木栄斗?! 戦う前に不戦敗してしまうのか?!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop