政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「いつかぎゃふんと言わせてやるからね。覚悟してて」

「はいはい、楽しみにしてますよ」

 できっこない、と言っているように聞こえて、ますますムカッとした。これ以上秋瀬くんと話していると、頭が苛立ちで沸騰してしまいそうだ。

 こんな場所にいられるかとばかりに会議室を飛び出し、足早に廊下を歩く。

 秋瀬くんの楽しそうな笑い声は、しばらく耳を離れなかった。



 誘いを断って迎えたランチタイム。ガーデンと隣接した席で、皮をパリパリに焼いたチキンと、ボリュームたっぷりのサラダを口に運びながら、秋瀬くんに弄ばれた頬を指で少しなぞる。

 たしかに童顔で秋瀬くんより三十センチも背が低いけれど、これでも二十七歳の立派なアラサー女子なのだ。そんな女に、よくあそこまで突っかかれるものである。

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