政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 会議でのイライラがまた復活した。持っていたフォークをチキンに突き刺し、「秋瀬くんもこうやって退治してやりたい」と口に入れる。彼が私のひとつ上の二十九歳で、一応は年上として敬意を払わなければいけないという常識は考えない。

 そんな秋瀬くんが私の勤めるデザイン会社イリスにデザイナーとして入ってきたのは、一年ほど前。その時点で期待のホープだと人事が太鼓判を押していた人物ではあったけれど、入社して半月で大型コンペを通し、難関とされてきたクライアントから大絶賛され、営業でもないのに他社の仕事を取ってくる、という仕事ができすぎて逆に怪しい男だった。

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