政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 こんな場所で長々とキスをするつもりはなくて、すぐ、突き放すように秋瀬くんの肩を押しのけた。

 どうせまた秋瀬くんはからかうのだろう。キスするぐらい惚れたのか、くらいは笑いながら言うのかもしれない。

 そう覚悟していたのに、ちらっと見たその顔は信じられないくらい真っ赤になっていた。

「うわー……マジかー……」

 秋瀬くんが口元を押さえて呻くように言う。

 恥ずかしさよりも先に、不安が込み上げてしまった。一方的にキスをされるとどれだけ困るのか、私は知っているはずではなかったか。

「ご、ごめんね、嫌だった?」

「嫌ならこんなに照れるか」

 はあ、と秋瀬くんは大きな溜息を吐いてから、私の背中に片手を回した。

「ん」

 力強く引き寄せられると同時に唇が重なる。

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