政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 秋瀬くんはうつむかずに父を見据え、はっきりと言い切った。

「真白さん本人にも言えていないのに、人前では言えません」

 見上げた横顔が潤んでにじむ。それはもう、答えではないか。

 父がもう一度大きな溜息を吐く。そして、私と秋瀬くんとを交互に見た。

「あとは家族で話す必要がありそうだ。この件に関しては、また改めて時間を取る形でも構わないかい」

 頷いた私の横で、秋瀬くんも首を縦に振る。

 肝心の疑惑についてはなにも解決しないまま、その場はそこでお開きとなった。



「秋瀬くん!」

 がらんとした廊下を歩く後ろ姿に声をかけると、少し疲れた様子の秋瀬くんが振り返った。

「ごめんな、しろちゃん。それから、ありがとう」

「……うん」

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