政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 と葉鳥さんが言い、秋瀬くんもみんなを許した。

 秋瀬くんのもともとの性格もあり、気まずくなったのは最初だけで、あとは慣れ親しんだいつもの空気に戻っている。

 謝罪は私にも及んだ。夫を悪く言ってすまなかった、と頭を下げてくれるチームのみんなを見て、いい人たちと働いていたんだなと改めて思わされた。

 そうして、月末。

 『秋瀬お帰りの会』とやらを開こうと、葉鳥さんが飲み会を提案した。

 どうせこれもお酒を飲みたいだけの口実に決まっている。きっとみんなわかっていたけれど、誰も拒む人はいなかった。そう、私も。

 カタ、とキーボードを打ち終えて、メールに新しいデザイン書を添付する。

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