政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 デザイン企画のコンペがあれば、大抵の場合、最後まで私と秋瀬くんが残る。そして、秋瀬くんが勝つ。会社で毎月発表される、チームへの貢献度を競うランキングだって、毎回秋瀬くんが一位で私が二位だ。それだけならまだ悔しいだけで済むけれど、彼はいつも私を煽って面白がる。到底許される行為ではない。

 だからちょっと子犬っぽい童顔も、いい意味でチャラそうな話しかけやすい雰囲気も、全部私には疎ましいものとして映る。

 それなのに、なぜ私たちは今、たったひとつしかないベッドの上でお互いを見つめ合っているのだろう。

「本気でする気じゃないよね、秋瀬くん」

 内心の緊張は隠して、なるべく余裕が見えるようにゆっくり問う。

 それを聞いた秋瀬くんは、私を見つめたまま鼻を鳴らした。

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