政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 こんなふうに挑戦的な意地悪をするのは私に対してだけ。今まで深く考えてこなかったけれど、嫌われているのだろうかと思ってもおかしくないくらい、秋瀬くんは執拗に私にケンカを売る。

 幸い、そんな不安を覚えるようなかわいげのある性格ではなかったし、考える前に秋瀬くんの本当の気持ちを知ってしまった。

 秋瀬くんに向かって鼻を鳴らす。

 会社ではこうやって煽ってくる秋瀬くんも、家では愛妻家だ。私のことが好きで好きでたまらないと知っているから、昔ほど得意げな顔を腹立たしく思わない。

「今日こそぎゃふんって言わせてやるからね」

「はいはい、もう聞き飽きたよ」

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