政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「ほんとだって。ふたりでいて黙ってる時間が嫌だから、無理してるだけ」

 手元のグラスの中を、ストローでぐるぐると掻き混ぜる。氷が少しずつ溶けて、濃かったコーヒーが薄まった。

「でも、真白といるときは黙ってても楽しいよ」

「私も楽しかった。気まずくないから」

 思ったものを素直に伝えると、秋瀬くんはふっと吹き出した。

「そっか、気まずくなかったか」

「うん」

「今、両想いなんだなって実感した」

 すすす、と秋瀬くんの手がテーブルの上を動いて私の近くにやってくる。

 不思議に思ってその手を掴むと、逆に絡め取られて恋人繋ぎのように握られた。

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