政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「手にちょうど収まる大きさっていうのが最高。俺専用って感じ」

「どこをどうされるのが気持ちいい? 言わないとしてやらないよ」

 最後のはなんだ。

 慌てて頭の中から、秋瀬くんの危なっかしい言葉を取り払う。

 でも、一度思い出してしまったのがよくなかった。身体が火照りだして、秋瀬くんの無遠慮な手に思考を乱される。気にしないようにすればするほど、あの大きな手が、骨張った長い指が、私を焦らすように撫でているのだと意識させられた。

「……っん」

 思わず小さな声が漏れ、気付かれないようにそっと自分の口を手で押さえる。

< 231 / 342 >

この作品をシェア

pagetop