政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 しれっと言われるけれど、そんな言い方をされれば気になるに決まっている。

「ワケありの家じゃないよね?」

「実は社長令嬢のしろちゃんと同じくらいのわけありかな」

 そういえば、と気付く。

 私は秋瀬くんにだって父についてひと言も漏らさなかった。なのに普段とまったく態度が変わらない。

「秋瀬くんはいつから私の父を知ってたの?」

「それなりに前から」

 わざとかと思うほど曖昧な返事だった。でも、秋瀬くんとはそういう人だ。

「だったら、もう少し優しくしてくれてもいいでしょ。社長の娘なんだよ」

 態度を変えずに接してくれていたことがほんのりうれしくて、わざと突っかかってしまう。

 そんな私に、秋瀬くんは優しく笑った。

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