政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 あとは、今だからこそわかるけれど、私への「好き」が駄々洩れになっているのも怒れない理由のひとつだ。秋瀬くんのかまいたがりは、おそらく子犬がお気に入りのぬいぐるみを引きずり回し、あちこちに放り投げ、ぐちゃぐちゃにしてしまうのと似ている。

 秋瀬くんが私に向かって屈んだ。そして、頬を手で包み込んで顔を寄せる。

「三日も真白に会えないなんて、おかしくなるかもしれない」

「大丈夫。心配しなくても、秋瀬くんはもともとおかしいよ」

「辛辣すぎるよ、奥さん」

 だったらところかまわず私にちょっかいをかけて喜ぶ性癖をどうにかした方がいい、と指摘する前にキスをされた。

< 281 / 342 >

この作品をシェア

pagetop