政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 触れるだけのキスは、それ以上のキスを知った後だと物足りない。

「寂しくなったら電話してもいいか?」

「……うん」

 捨てられた子犬のような顔をされると、たった三日だろうと呆れていた私までなんとなく寂しくなる。

「気を付けて行ってきてね」

「うん。いい子にして待ってろよ」

 今度は私から背伸びをして、秋瀬くんにキスをする。

 寂しい、という気持ちがまた強くなった。

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