政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 それで許す自分をどうかと思うし、そんなひねくれた愛情表現をする秋瀬くんを好きだと思うのもどうかしていると言わざるをえない。でも、子供じみた意地悪をしては喜ぶ秋瀬くんを見るのが好きだ。

 だから、誰にも邪魔されることなくテレビを見る時間も、本を読む時間も、想像していた以上に退屈で寂しい。

 寝転がっているところにのしかかってくる重みがないだけで、こんなになにかが欠けた気持ちになるものなのか。

 秋瀬くんのいない日常を過ごす時間の方が長かったのに、結婚してからの時間が楽しくて、心地よすぎた。

「……本当におかしくなっちゃいそうだね」

 今は遠い地にいる秋瀬くんへ語り掛けるように呟く。
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