政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 本を読んでいるときだって変わらない。横腹をつついてきたり、足をくすぐってきたり、人の事情なんておかまいなしに秋瀬くんはいたずらを仕掛けてくる。

 挙句には本を取り上げて私の手の届かない高い棚の上に置き、懸命に取ろうとする私を見ておもしろがる、などという意地悪までする。一生懸命な私の姿を見るのが好きらしいけれど、嫌がらせ以外のなにものでもない。

 そうしてやっぱり怒る私を、秋瀬くんはぎゅっと抱き締めて「かわいい」だの「好き」だのと言う。

< 284 / 342 >

この作品をシェア

pagetop