政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 ひとりで食べる朝食も、あまり味を感じなくてつまらなかった。秋瀬くんと他愛ない話をしながら食べるご飯は、どうしてあんなにおいしかったのだろう。

 冷蔵庫に入っていた鶏肉を見て、秋瀬くんがいつも作ってくれる親子丼を真似してみたけれど、自分で作るものと秋瀬くんが作るものとではなにかが違っていた。調味料も手順も同じなのに、だ。

 朝から親子丼なんて重かっただろうか。だからあんまりおいしくないと思ったのだろうか。

 そう考えて首を横に振る。

 秋瀬くんは私が「おいしい」と言ったから、食事担当になると親子丼を作りたがる。もう一度私から「おいしい」を引き出すためだけに、何度も何度も。

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