政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 私が自分のために作ったものには込められない気持ちが、あの親子丼には込められているのだ。

 途中まで食べた親子丼は、ラップをして冷蔵庫にしまっておく。残りは昼ご飯にしよう。きっとまた、秋瀬くんの手作りと比べて切ない気持ちになるだろうけれど。

 よりによって今日は特に予定のない日だった。

 買い物にでも行こうかと思ったけれど、あまり気が乗らない。

 服を買いに行っても、いつもなら勝手についてきてあれこれ口を出す秋瀬くんがいないからだ。

「真白は寒色系より暖色系がいいよ。ピンクよりはオレンジ系だな」

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