政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「なんで? 会社で俺と夫婦らしくしたくない?」

「夫婦って言っても形だけでしょ、政略結婚なんだし」

 ついさっきはめてもらったばかりの指輪を指から引き抜くと、秋瀬くんは残念そうに肩をすくめた。

「というか、どうしてお父さんの提案を呑んだの? 社長なんてやれる?」

「やれって言われたらやるさ」

 秋瀬くんが私に顔を近付けてくる。今までにない距離にぎょっとしたなんて気付かれたくない。触れられたことはあっても、まさかこんな、吐息を感じるほどの距離なんて。

「しろちゃんと結婚するチャンスを逃すわけにはいかなかったしな」

 どういう意味だと問う前に、さらに秋瀬くんの顔が近付いた。

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