政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「もはや恒例行事だよなあ、ダブル和泉の漫才」
「俺、今回は和泉ちゃんが勝つ方に賭けてたのに。ふざけんなよ、秋瀬」
好き勝手に言うメンバーはもう気にしないでおく。
私の――和泉真白(いずみましろ)の敵はただひとり、対面の席でにやけた顔をしている和泉秋瀬だけである。
「ううう、悔しい」
秋瀬くんの余裕ぶった顔を見ていられず呻くと、葉鳥さんがぽんぽんと背中を叩いてくれた。
「和泉ちゃんもすごくよかったんだけどね。よりテーマに近いのは秋瀬の方だったってことで」
「この間も秋瀬くんの方がコンセプトに近いって言ってました。私、そんなに外してますか?」