政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「まあ、和泉ちゃんのデザインがあるから、秋瀬が刺激されてもっといいものを出してきちゃうっていうのもある。別に和泉ちゃんが下ってわけじゃなくて、あいつのセンスが化け物じみてるってだけだよ」

「葉鳥さん、聞こえてるんですけどー」

 他のメンバーたちは早々に自分のデスクへ戻ったのに、まだ秋瀬くんは椅子に座っていた。それを見て、びしっと指を突きつける。

「次は負けないからね」

「それ、今日で百回くらい聞いた」

「そんなに言ってないし」

「言ってる言ってる」

 楽しげに笑うと、秋瀬くんは立ち上がって私の前までやってきた。

 見上げて、むっとする。百八十四センチあるらしい秋瀬くんに見下ろされると、百五十五センチしかない私は首が痛くなる。なにせ、三十センチも身長差があるのだから。

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