政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「いやあ、しろちゃんは毎度毎度かわいいな」

 ぽん、と頭に手を置かれ、秋瀬くんを睨みつける。

 それに対し、まったく堪えた様子なく、秋瀬くんは私の頬をむにむにとつまんできた。

「ほっぺももちもちで柔らかいし、目もくりっとしてて愛嬌あるし。すぐ俺に噛み付いてくるところも、チワワみたいでキュンキュンする」

 チワワならかわいいな、と一瞬頬が緩んでしまい、すぐに余計な考えを脇によける。

「褒めてないでしょ」

「人の言葉は素直に受け取っておけよ、しろちゃん」

「その呼び方やめてって言ってるのに」

 みょん、と頬を横に引っ張られて秋瀬くんの手を軽く払う。餅のようによく伸びるから、という理由で、この男は私に気安く触れるのだ。

< 8 / 342 >

この作品をシェア

pagetop