チャラい彼は、意外と一途


それを聞いたことはないし、分からないけど。


でも、1つ分かるのは……2人は両想いってこと。


紗奈ちゃんか凍堂先輩のどっちかが告白すれば上手くいくよね。


「はぁ、律先輩も私のこと好きだったらいいのに……」

 
紗奈ちゃんは凍堂先輩の気持ちを知らないから当然だけど……


紗奈ちゃん、大丈夫だよ。


そんな心配いらないから。


「凍堂先輩もきっと紗奈ちゃんのことが好きだよ」


凍堂先輩のことを考えたらはっきりとは言えないけど……これは本当なんだよ。


「ありがとう、ふゆ」


すごく嬉しそうに笑っているのを見て、どれだけ好きなのかということが分かった。


可愛いな、紗奈ちゃんは……


「あっ、思ったけど、ふゆにバレてるってことは佐野先輩にもバレてるわよね?」


「うん、そうだと思う」


佐野先輩、そういうの鋭そうだし気づいてるだろうね。


「最悪……」


心から嫌そうに吐き捨てたから、私は笑ってしまった。


本当に嫌そうに言うなって思って。


「何笑ってるの」


「ごめん。紗奈ちゃんがあまりにも嫌そうな声で言うから」


ほんと嫌ってるよね。


私は紗奈ちゃんほどではないかな。


「そりゃあ、そうよ。私、チャラい人好きじゃないもの。ふゆだって、嫌いでしょ?」


「うん。でも、最初ほどじゃないし、紗奈ちゃんほどてもないよ」


最初は本当に嫌いだったけど、今はそんなに……


「ふーん。まぁ、いいわ。それより、もう食べたし帰りましょう」


「そうだね」


クレープを食べたら、そのままどこにも行かずに帰った。



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