チャラい彼は、意外と一途


「ほ……本当、に?」


「嘘でこんなこと言わないですよ」


少し笑ってそう言うと、その瞬間甘い香りに包まれた。


佐野先輩に抱きしめられてる、そう自覚したのはちょっと過ぎてからだった。


「さ、佐野先輩」


「もう離さない」


心臓が破裂しそう……


ふわふわと鼻をくすぐる甘くて、それでいてしつこくないいい香り。


佐野先輩の気持ちをまだ聞けてないのに……


「あの、佐野先輩はどうなんですか?私のことまだ好きでいてくれてますか?」


私は多分自信なさげで不安そうに佐野先輩を見上げてると思う。


「あぁ、もう。ふゆちゃん、可愛すぎ」


「へっ?」


急に言われた言葉に素っ頓狂な声を上げてしまった。


可愛い……?


佐野先輩はそんなのよく言ってるし、言い慣れてる。


そうは分かっても、顔が熱くなった。


「か、からかわないでくださいって何回も言ってるじゃないですか!」


「だから、からかってないって。本当に可愛いんだよ。そうやって、涙目で不安そうに見上げてくるから」

 不安そうに見上げてたのは認めるけど……涙目なんてしてたんだ。


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