チャラい彼は、意外と一途


紗奈ちゃんに褒めてもらって、すごく嬉しかった。


「よかった」


「面白そうなことやってるね」


声が聞こえて振り向くと、いつからいたのかそこには佐野先輩が立っていた。


「何で、佐野先輩がいるんですか?」


「そんな顔しなくてもいいじゃん。ふゆちゃんにバレーを教えてるんだよね?だったら、僕も教えてあげるよ」


えっ、佐野先輩にも教えてもらうの……?


「佐野先輩って、バレーできるんですか?」


「うん。球技全般得意だよ」


羨ましい……


私とは正反対だ。


「ふゆに変なちょっかいかけないって約束するならいいですよ」


「はーい、約束します」


久隆君の一件で見る目が変わったのか、しぶしぶと紗奈ちゃんは頷いた。


なんか、不安だけど……


「ふゆちゃん、もうちょっと勢いをつけて飛ばしてみて。そして、ボールの軸を捉えて打ってみたら飛ぶよ。そうしたら、多分届くと思うから」


レシーブの次はサーブ。


基本的なこの2つをやろうということになったんだ。


先輩の言うとおり、勢いをつけることとボールの軸を捉えることに気をつけて飛ばしてみた。


……あっ、届いた!


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