いつの間にか、君に恋していたんだ。


輝楽さんが説明してくれた。


輝楽さんの言うとおり……ううん、ちょっと違うかな。


ラーメンは私食べたことないから。


「私、ラーメン初めてです」


「えっ?」


「嘘っ!?伊鳥、ラーメン食べたことないの!?」


そう言ったら、驚いたような顔をされた。


そんなに驚くことかな、ラーメン食べたことないって……


お母さんはラーメンが嫌いだったし、あの家では私は作ってばっかりで外で食べることなんて少ない。


たまに、お父さんが帰ってきた時に外で食べたりしたけど、フレンチとかでラーメンじゃなかった。


だから、食べたことがないんだけど……


「じゃあ、これで初めて食べることになるんだな!」


「ここ美味しいから、食べてみたらいいよ。ある意味、いい経験になると思うし」


「そうですね」


なんだか、わくわくしてきた。


中に入ると……


「いらっしゃいませー!」


一斉に聞こえる野太い声。


長いテーブルが1つ置かれていて、椅子が綺麗に一列に並べてある。


水は自分でやるみたいで、冷水機が置かれてあった。


太陽君も輝楽さんも慣れたように、まず容器に水を入れる。


続いて私も入れた。


その後に座らせてもらう。


「伊鳥、何にする?」


「え、えっと……」


「そんなの急に言われても分かんないだろ。伊鳥ちゃん、ゆっくり決めればいいから」


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