花束
「僕はユージーン。萌音さんの角膜をもらいました」

「私はシャルロット。萌音さんの腸をもらいました」

「俺はルイス。萌音さんの肺をもらいました」

「私はクララ。萌音さんの肝臓をもらいました」

「俺はノア。萌音さんの骨髄をもらいました」

ユージーンたちは手術の痕も見せてくれた。本当に萌音が生きているんだと、華恋は嬉しくなる。そして、最後に残った一人の女性が聴診器を華恋に渡し、言う。

「私はレティシア。萌音さんの心臓をもらいました」

華恋は聴診器を耳に当て、レティシアの心臓の鼓動を聞く。それは間違いなく何度も聞いた萌音のものだった。華恋は嗚咽を漏らしながら震える声で言う。

「生きてくれてありがとう。すごく嬉しい」

愛する人はこの人たちの中で確実に生きている。それはこの人たちが死ぬまで終わらない。華恋はレティシアを抱き締め、子どものように泣きた。まるで萌音が抱き締めてくれているような気がして、幸せがあふれていく。

これからもずっと、華恋の中で萌音への愛は消えない。だからこそ、花束を持って彼女のお墓へ行く。

そして、何度も言うのだ。「心から愛してる、永遠に」と……。
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