DOLCE VITA  ~ コワモテな彼との甘い日々
もともと鋭い目をさらに鋭くした彼が、部屋の中でげらげら笑っている若者たちを振り返った隙に、くるりと背を向ける。


「おいっ!」

「ひっ」


一歩踏み出したところで気づかれた。


「な、な、なんでしょう……」


さすがに無視して走り去るのは、失礼極まりない。
顔だけ振り返ると、思いがけない言葉をもらう。



「いってらっしゃい」




「……い、いってきます」





そこから、どこをどうやって勤務先のケーキ屋まで辿り着いたのか、記憶がない。



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