看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
その後も咳は続き、時々胸も痛く感じるようになった。人見知りで人とは関わりたくはないが、病院に行った方が良さそうだと、日高先生に連絡し紹介状を持って、街の総合病院に行く事になった。

もちろん素顔はあまり見せないように、マスクに帽子を被った少し怪しげな姿。

病院の待合室で座っていても、隣に座る人はいない。遠巻きに見られている。誰も橘涼太朗とは知らないし、どちらかと言うと近寄りたくない雰囲気。

待つこと30分。やっと診察室に呼ばれた。

「お願いします」

「こんにちは。今日は日高先生の紹介ですね。私も若い頃から日高先生にはお世話になったんです。で?症状は、咳だけですか?」

「最初は咳だけだったんですが、咳をすると胸まで痛む事があって…」



< 12 / 100 >

この作品をシェア

pagetop