看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
「山岡さん、ここは私に任せて戻りなさい」

「わかりました。果歩さんお大事に」

ベテランの師長は、果歩に向き直る。

「先ずは、産婦人科に受診ね。すぐに手配するわ。ひとつだけ聞いてもいい?」

「はい」

「おめでとうでいいのかしら?」師長は相手が涼太朗であることや、病気が完治しない事も理解した上で、果歩がどう思っているか聞きたかったのだ。

「はい!」しんどそうにしながらも、意思の強い眼差しで満面の笑顔で返事した果歩。師長は思わず果歩を抱きしめる。師長は、娘のように思っている果歩の決断に全力で応援しようと思う。

「おめでとう!」今度は疑問ではなく、心からのお祝いの言葉を述べる師長だった。

師長の手配ですぐに産婦人科を受診させてもらい、妊娠3ヶ月と分かった。

穴窯の作業が終わった日、満月の日に結ばれた一夜で出来た子。奇跡の子だと素直に喜ぶ果歩だった。


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