終わらない夢
「シャワー入れるか?」
「飲み物用意するよ。お茶は…あるよな」
「温かいスープでもあれば…あ、あった」
「あいつに頼むかなあ」
「体が痛いとかはないよな?」
さっきから私の周りをウロウロしては、体調を気にかけてくれる。翔がもはやお母さんのようだ。私は風邪でもひいているのか。
「大丈夫だよ。ひとりでできる」
「でも…」
「心配しすぎ。これでも、歳上だよ」
そりゃあ、経験は無いかもしれないけど。
「でも、ありがとね」
「えっ?あ、いや…えっと、その。うー…」
なんで急にナヨナヨし始めるんだろう。いつもなら「そーだろ!」とか言ってくれそうなのに。
調子狂うなあ…。
どうしよ、変な空気…流れてる。
「ま、まあ、同じなんでも屋をやる仲間だからな。心配してとーぜん!」
「…ふふっ」
「なに笑ってんだ!」
「いや?なんか可愛いなって」
「ーーっ。はぁ!?かかかかかか、かわいくねーし!!」
同様の色が全く隠せていない。褒められ慣れてないんだろうか。街で見る限り、愛されているように見えたが。
「大丈夫。これからいっぱい褒められるよ」
「…ふ、フンっ。俺はそれが当たり前だから、へーきなんだよ!!」
顔が真っ赤なのは、そういうことだ。
「…まあ、それは置いといて。色々調べて分かったんだけど」
「……」
さっきまでの顔が嘘のように消えていく。翔は落ち着いてはいるが、その瞳の中には静かな怒りを灯したように見えた。こう何度も思い出させてしまうと、それこそ翔の負担になってしまいそうだ。
「ハザードは、神楽組の番犬。それはもういいよね」
「ああ」
「加えて、これまでに拉致や殺害された人たちには、共通点があったの。全員、瞳の色が青系統の色だった」
瞳の色が青…紺色ではあるが、私も少なからず危険が及ぶかもしれないことを、調べてるうちに知った。
「その人たちって、何かあるのか?」
「…聞ければ苦労しない」
「だよな」
あくまで身体的特徴しか分からない。だが、もっと奥にそれらの理由があるはずなんだ。
「そうだ、その人たちはみんな、一人暮らしか母子、父子家庭だった。核家族の家庭が多かった」
「人目が少ないところを狙っている…?うちも多くはなかったけど。それに、うちは瞳の色が青いのはいなかったぞ?」
そうだ。それが一番分からない箇所だ。なぜ翔以外を?翔に何かあるのか?
「まあ、捕まえたら腐っても吐かせるさ」
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