今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

    ◇ ◇ ◇


 翌日、朝起きた陽茉莉はスマホにメッセージが届いたことに気が付いた。

『昨日は済まなかった。一日経ってもジューシーで美味しかった』

 キッチンに向かい冷蔵庫を開けると、昨日しまったはずの夕食は綺麗になくなっていた。なんなら今日はお弁当にして持って行こうかと思っていたが、その必要はなかったらしい。

 陽茉莉はスマホの画面を眺める。

 今朝食事を食べた後、わざわざこれを打ったのだろうか? 時間的に、電車の待ち時間にでも送信したのかもしれない。

 陽茉莉が知る限り、相澤はどんなに遅くとも自宅で食事を取る。そして、美味しかったと一言感想をくれる。今朝は陽茉莉がまだ寝ていたから、わざわざこうしてメッセージを残してくれたのだろう。

「律儀だよねー」

 どうせ今日も会社で顔を合わせるのだから、そのときに言えばいいのに。
 けれどその律儀さは嫌いじゃない。
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