運命の一夜を越えて
「彩」
その声に呼ばれるだけで私は今でもどきどきする。

今日は金曜日。
私も渉も土曜・日曜と仕事が休みで、明日は私たちにとって2回目の旅行を計画していた。

「ここよりも少し寒いからな。あったかい服もったほうがいい」
「・・・うん」
渉は仕事が終わってから私の部屋に泊まりに来た。
明日はそのまま早起きして渉の車で空港へ向かい、北海道に行くことになっている。

仕事が終わってから渉は普段着に着替えて私の部屋に来た。
こうして平日の仕事が終わると私の部屋に来ることも今では日常的な光景になっている。

でも、今日はいつもとは少し違う。
緊張感が違う。

「緊張してる?」
クローゼットの前で荷造りをしていた私の体を後ろから渉は抱きしめた。
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