運命の一夜を越えて
季節は秋。11月中旬。
もうすぐ冬になる。
冬になる前に、今年一度も北海道に帰省していなかった渉の提案で今回の旅行が決まった。

別れようと決めているタイムリミットまではあとひと月半。

今まで私たちは喧嘩という喧嘩をしていない。
喧嘩になりそうになると、渉は私と少し距離をとってから、必ず折れてくる。

頑固で気の強い私の扱い方をよくわかっていて、すぐに折れず、少し時間をあけてくれるところも私をよくわかっているからだ。

渉は私に本当に優しい。
毎日取り合っている連絡で、私の微妙な変化をキャッチして、平日でも会いに来てくれたり、仕事が終わるのを待っていて、家まで送ってくれることも多い。

夏に家で熱中症になりかけている時も、渉は私からの連絡の返事がないことを心配して私の家に日付が変わってから来てくれて、発見してくれた。

私からは基本的に会いたいとか、どこかへ行きたいとかは言わないようにしているのは、私がせめてもできる、渉との距離を必要以上につめないという自分ルールからそれないためだ。
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