運命の一夜を越えて
渉はわがままの言えない子になってしまったって・・・でも違った。
渉は心の中にはいろいろな欲を持っていたんだ。ほしいものだって、やりたいことだってちゃんとあった。

それを・・・今まで誰にも言わずに我慢してきたんだ・・・

幼いころからずっと・・・誰にも言えずに心に押し込めて我慢してきたんだ・・・


「自分の欲を誰にも言えずに生きて来た俺が、今初めてあきらめたくないって思うんだ。彩のこと。どうしても諦められない。こんなに誰にも遠慮できない欲は今までなかったんだよ。そのくらい、彩を愛してるんだ。俺は彩と未来をつくっていきたい。一緒にいる未来を。ずっと二人で生きていく未来が欲しい。」

まるで今まで心に自分でかけていた呪縛が解けていくかのような感覚・・・


「私もほしい・・・」
「彩」
「二人の未来が・・・渉と二人の未来が欲しい・・・」
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