運命の一夜を越えて
「おはよう」
「おはよう」
グイっと私の体を抱き寄せて自分の体に寄り添わせながら、渉は私の顔色を確かめるように見つめた。
「体調は?」
「・・・平気」
「でもちゃんと食べないとだめだな」
「・・・」
渉と離れてから何も味がしなかった。

私は渉の胸に顔をうずめるようにしてそのぬくもりをかみしめた。

「あったかい」
渉の胸は温かい。
その言葉に渉は私を抱きしめる手に力を込めて、さらに私の体を包み込むようにしてくれた。

「あったかい・・・ちゃんと感じる・・・」
麻痺していた感覚は、渉のぬくもりに溶かされるように戻って行った。
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