運命の一夜を越えて
今まで何度も何度も渉には『大丈夫』と言ってもらった。
その言葉に支えられて、守られてきた。
勇気をもらって、いろいろなことを乗り越えて来た。

なのに・・・今はほんの一筋の希望にしか思えない。

「今回の精密検査は一日入院をしていただき検査をするようになります。なるべく早い日程で検査をしたいので、できれば今日か明日には入院をする手はずをとりたいのですが」
医師の言葉に、前回の検査の結果があまりにも悪かったのだろうと予想できた。

「検査入院でも付き添いは可能ですか?」
渉の申し出に医師は快く承諾をしてくれた。

「今日は帰って、明日入院でもいいかな?」
渉が話を進めてくれているのに、私は何も答えられない。
今は何も考えられない。

私が何も答えられるような状況じゃないことを察した渉が話を進めてくれる。
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