最後の悪夢

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遠足の前日。

三年生の、あの合宿のカリキュラムの一日目。私達二年生は、明日の準備のためにかなり早くに放課となった。


夏休みが明けたのだ。蝉の鳴き声ももう聞かなくなった。肌寒いかなと感じ始めていた十月後半。


放課になって家に帰ろうとしたら、「あの」と後ろから声をかけられた。

見ると、別のクラスの知らない男の子がこちらを向いて、なんだか真剣そうな顔をしている。

え? 私、何かしたかな。


戸惑いながらも「はい、なんでしょうか」と返す。


そしたら男の子は、真っ直ぐに私の目を見て、ひとつ大きく息を吸って、



「好きです」




と、強く言った。
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